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2018-03-01

大和郡山市「町家物語館(旧川本邸住宅)」が一般公開。大正時代の遊郭建築でひな祭りイベントを見てきました

4年ほど前、奈良県は大和郡山市内をうろうろする機会がありまして。それまで「お城跡と金魚が有名」「駅前のコロッケ屋さんは地元民のソウルフード」くらいしか知識がなかったのですが、ふと不思議な建物を見つけたのです。

細い道のどんつきにあるやたら立派な木造3階建て。休日だったのにあたりにほとんど人通りはなく、妙に威圧感のある建物はそこだけ時間が止まっているかのよう(後に時間が止まっているかのような空間がこのエリアのあちこちにあることを知ることになるわけですがここでは割愛・笑)。これが私と元遊郭「旧川本家住宅」との出会いでした。

登録有形文化財の旧川本家住宅が「町家物語館」として公開

そんな「旧川本家住宅」が「町家物語館」と名称を変えて今年1月から一般公開をスタート。あの気になりすぎてた建物の中に入れる!と嬉しくなり、行ってまいりました。「町家物語館」は大正時代に建てられた木造3階建ての遊郭建築です。昭和33年の廃業後は下宿として、また客間を貸間として使用されていたとのこと。平成26年には登録有形文化財にも指定されています。

4年前に見たのと変わらぬ立派な建物。これだけのものを、こんなに綺麗に保存しておくのはさぞ大変だったろうと思われます。「町家物語」の看板ができていたり、旗が立ってたりで賑やかになっていました。訪れたのは平日の午前中だったのですがシニアの皆さん、建物の関係者の方、近所の保育園児(集団!)などなどたくさんの人が。一般公開前から、イベント会場や人権教育の場として、地元の方からは大切にされていたようです。

この日は大和郡山市各所で行われていた「大和な雛まつり」の開催期間中。町家物語館もその会場の一つだったのです。建物いっぱいにたくさんのお雛様が飾られていました。

1階には建物の成り立ちを説明したパネルや、資料の展示が。当時の料金表や顧客名簿を眺めているとスタッフの方に声をかけられました。

「この部屋は女の子が並んで、お客さんに選んでもらうところ。指名されたら女の子はこちらの階段、男の方はあちらの階段を使って、2階で落ち合うんです」

なかなか生々しいご説明をありがとうございました・・・。いろんな事情のある方がここで働いておられたのだと思って少し厳粛な気持ちになりました。昭和33年に遊郭が廃業になってからは下宿として部屋が貸し出されていて、電気メーターの設置跡もありますよとのこと。変わらない建物に変わりゆく人々の足跡が残っているわけですね。あとからあとから団体が来られるので、説明いただくのはほどほどにして2階へ。

2階から見えるハート型の窓3つ。2階にいたスタッフのおじさまにお聞きしたところ、「猪目(いのめ)窓といってお寺や神社によく使われる伝統的なものだけど、ここでは桃尻窓と呼ばれている」のだそう。そう言われてみれば艶やかなカーブです。

階段いっぱいに飾られたお雛様。大迫力。

遊女が暮らしたお部屋にもお雛様が。

こちら大和郡山のシンボルである金魚と共に。金屏風だけじゃなくて、屋根付き。見たこともないような貴族的なしつらえです。友人曰く「日光東照宮みたいやな」。たしかに。

明治、大正、昭和初期、私が生まれた年に近いもの、手作りのものなど、よくぞこんなにと思うほどたくさんのお雛様。「孫のためにと実家から贈られました」といった由来が書かれたものも。

お雛様にまじって謎の展示もあったりするので油断なりません。

順路に従って歩き、最後に中庭に面したお部屋へ。格子越しにしかお外を眺められなかった部屋から明るい中庭に出ると少しホッとした気持ちに。ここに暮らした女性の皆さんもそうだったのでしょうか。

お雛様の展示が思いのほか見応えがあり、今回は部屋全体の雰囲気などはあまり撮れず。また少し時間をおいてじっくり見に行きたいと思います。なんといっても見学無料なのはありがたいです。

そうそう、「大和な雛まつり」は3月4日(日)まで。市内140箇所で展示されているので週末のおでかけに迷われている方はぜひ~

町家物語館

住所/奈良県大和郡山市洞泉寺町10

電話/0743-52-8008

開館時間/9:00~17:00

休館日/月曜日(祝日の場合は開館、翌平日が休館)、祝日の翌日、年末年始

料金/無料

※城下町として栄えた歴史のある大和郡山は、道が入り組んでいて車が入りにくいところが多いです。初めての方は公共交通機関の利用を強くおすすめします。取材時、車の運転がうまくて奈良に慣れているカメラマンさえもしばしば道に迷わはります(笑)

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